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ミドルレイヤー

Patagonia Nano Puff

極細マイクロファイバーで濡れても90%保温維持。ブリックキルトで中綿移動を防止。当時のC8撥水剤は強力。

性能評価

軽さ
3/5
防水
2/5
防風
4/5
撥水
4/5
保温
3/5
着心地
4/5

※ 2011年前後の技術水準と15年の実使用経験に基づく5段階評価

技術スペック

基本情報

製品名
Patagonia Nano Puff
購入年式
2011年
カテゴリ
ミドルレイヤー
重量
330g (Jacket)

素材・技術

主素材
PrimaLoft® One (60g) / 15D リップストップ
主要技術
ブリック・キルティング / C8 DWR撥水

技術的概要

化繊インサレーションの代名詞。2011年当時のNano Puffは、PrimaLoft One(60g/m²)を15Dリップストップシェルで包んだ、軽量化繊ジャケットの完成形だった。ダウンの弱点——水濡れによる保温力喪失——を構造的に解決し、「濡れても暖かい」を実用域で証明した。C8世代のDWR撥水加工が施された最後の世代でもある。

素材分析

PrimaLoft One(60g/m²)

極細マイクロファイバーを高密度に充填した化繊断熱材。繊維の85%が0.5デニール、残り15%が4デニールという二種混合構成で、極細繊維が微細な空気層を大量に形成しつつ、太い繊維がロフトの復元力を担保する。最大の特徴は疎水性だ。繊維自体が水を吸わないため、濡れた状態でもドライ時の約90-95%の保温性を維持する。これはダウン(濡れると保温性が約50%以下に低下)との決定的な差異だ。充填量60g/m²は、同時期のダウンジャケットにおける700FP・50g充填と同等のCLO値(約1.5-1.8)を提供する。

15Dリップストップナイロンシェル

極細15デニールのナイロン糸を使用した超軽量シェル生地。格子状に太い糸を織り込むリップストップ構造により、裂けが発生しても拡大を防止する。ただし15Dは引っ掛けに対する絶対的な強度は低く、鋭い枝や岩角への接触には注意を要する。この薄さが、330gという総重量と高いパッカビリティ(内ポケットに収納可能)を実現している。

ブリックキルティング構造

中綿を固定する縫製パターンにレンガ積み(ブリック)型を採用。ダイヤモンドキルトやストレートキルトと比較して、中綿の偏りと縫い目からのコールドスポット発生を最小化する。各ブリック内で中綿が独立して保持されるため、洗濯や圧縮を繰り返しても均一な保温性が維持される。10年以上の使用で中綿の極端な偏りが発生していないのは、この構造の堅牢性を示している。

C8 DWR撥水加工

2011年モデルには長鎖フッ素化合物(C8)ベースのDWR撥水加工が施されていた。C8は分子鎖が長いため、油汚れへの耐性と撥水持続性がC6(短鎖)やPFCフリーと比較して圧倒的に高い。環境規制により2015年以降段階的に廃止されたため、この世代のNano Puffは「最後のC8撥水」製品となった。15年経過した現在も、水滴が生地表面で球状になる程度の撥水性が残存している。

性能特性

保温性と適用温度帯

単体使用で快適なのは気温5-15℃の範囲。0℃以下ではベースレイヤーとの組み合わせ、あるいはシェル内のミッドレイヤーとしての運用が必要になる。ダウンジャケットと比較した場合、同重量帯での絶対的な保温力はやや劣る。しかし行動中の発汗による保温力低下がほぼない点で、トータルの快適性では化繊が上回る場面が多い。

耐洗濯性

家庭用洗濯機で通常洗いが可能。ダウン製品のような専用洗剤や乾燥機でのロフト復元が不要だ。10年以上にわたり月1-2回の洗濯を繰り返しており、中綿のヘタリは体感で約10-15%程度。縫製は一部でほつれが始まっているが、中綿の吹き出しはダウンほど深刻ではない。

2011年の技術的背景

2011年前後は化繊インサレーションの第二世代にあたる。初代PrimaLoft(1980年代、米軍向け)が高密度でやや重かったのに対し、PrimaLoft Oneは軽量化と断熱効率の向上を両立した進化型だった。同時期にはThinsulate(3M)やClimaShield(Climashield社)も存在したが、PrimaLoftがアウトドア市場での支持を獲得し事実上の標準となった。Nano Puffはこの素材をPatagoniaの品質基準で製品化した、化繊インサレーションジャケットの教科書的存在だ。

現代技術との比較

現在のNano PuffはPrimaLoft Gold Eco(リサイクルPET)に素材変更され、DWRもPFCフリーに移行した。保温性能自体は大きく変わらないが、撥水持続性とシェル生地の耐摩耗性においては、2011年モデルが上回る局面がある。また現代ではNano-Air(通気性特化型)やMicro Puff(軽量特化型)など、用途を細分化した派生モデルが登場し、Nano Puff自体は「汎用的な化繊ジャケット」としてのポジションを維持している。

15年使用後の総合評価

10年以上の酷使を経て、縫製に経年劣化は見られるものの、中綿の性能低下は最小限だ。ダウンのような劇的なロフト喪失がない化繊の強みが、長期運用で実証された。子連れの旅行、スキーのミッドレイヤー、不安定な気候の渡航先——用途を選ばないタフさが、この製品の最大の美点だ。

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