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ミドルレイヤー

HOUDINI Outright Houdi

表面のナイロンが摩耗とピリングを防止。マイクロフリース裏地が汗を即吸い上げ。バルト諸国の丁寧な縫製。

性能評価

軽さ
3/5
防水
1/5
防風
2/5
撥水
2/5
保温
4/5
着心地
5/5

※ 2011年前後の技術水準と15年の実使用経験に基づく5段階評価

技術スペック

基本情報

製品名
HOUDINI Outright Houdi
購入年式
2026年購入(廃番前入手)
カテゴリ
ミドルレイヤー
重量
395g (M推定)

素材・技術

主素材
Polartec® Power Stretch® Pro™ Light (170g/m²)
主要技術
ナイロン混紡ジャージーフェイス / 4方向ストレッチ

技術的概要

2026年、R2の後継候補として廃番直前に入手した一着。Polartec Power Stretch Pro Light(170g/m²)を使用し、15年前のハイロフトフリース(R2)とはまったく異なる設計思想を持つ。R2が「止まったときの保温」を最優先したのに対し、Outrightは「動いているときの不快感のなさ」に全振りしている。15年のギア遍歴を経て、この差が何を意味するかが明確になった。

素材分析

Polartec Power Stretch Pro Light(170g/m²)

内側のポリエステルが熱を蓄えて汗を吸い、外側のナイロンが摩擦と風をいなす二層構造。組成はポリエステル59%、ナイロン33%、エラスタン8%。生地密度170g/m²はR2のThermal Pro(250-280g/m²)の約60-68%で、この差が通気性・重量・パッキング性に直結する。繊維編み目が粗い分、湿気の透過速度が高く、行動中のオーバーヒートを防ぐ。

ナイロン混紡ジャージーフェイス

外側はナイロンを混紡したジャージーニット。R2のThermal Proが毛足の長いパイルを剥き出しにしているのに対し、Outrightの外面はフラットでスムース。ピリング(毛玉)と毛羽立ちが構造的に発生しない。シェルとの重ね着時に引っかかりが少なく、ザックのショルダーハーネスとの摩擦にも強い。R2を15年使って最も劣化が目立つのがパイル面の摩耗であり、この設計差は長期運用での耐久性に決定的な影響を与えるだろう。

4方向ストレッチ(Magical Stretch)

エラスタン8%の含有により、縦横斜めの4方向にストレッチする。伸縮率は約25-30%。R2のPower Stretchパネルも同等の伸縮率を持つが、あくまで脇下と側面に限定されていた。Outrightは全面がストレッチ素材であり、どの方向に動いても生地が追従する。40代の身体は、若い頃と違って「動きにくさ」がそのまま疲労に直結する。全面ストレッチは贅沢ではなく、年齢への適応だ。

性能特性

R2との保温性比較

率直に言って、R2の方が暖かい。Thermal Proのハイロフトパイルが作り出すデッドエアの量は、170g/m²のPower Stretch Pro Lightでは物理的に再現できない。しかし「暖かすぎて汗をかく→汗冷えする」というR2の弱点が、Outrightでは発生しない。行動中の快適性を総合すると、0℃以上のアクティブな場面ではOutrightが上回る。逆に、テント内や山小屋での停滞時にはR2に軍配が上がる。

15年前のギアシステムとの統合

Outrightの真価は、既存のレイヤリングシステムとの組み合わせで発揮される。ベースにジオラインL.W.(15年モノ)、ミッドにOutright、アウターにClimb Light Jacket(15年モノ)——この構成で、R2を使っていた頃と同等以上の温度帯をカバーできる。R2は380gだったが、Outrightは395g。15g重くなったが、嵩張りの違いは圧倒的で、パッキング時の体積は約40-50%に収まる。

Power Up Houdi(250g/m²)との選択

同じHOUDINIでも、Power Up Houdi(250g/m²)を選んでいたら、R2とキャラクターが丸かぶりしていた。あえて170g/m²を選んだのは、R2が「止まるとき」の答えとしてすでに存在していたからだ。システムに足りなかったのは「動くとき」の中間着であり、Outrightはその穴を正確に埋めてくれる。

フリース市場15年の変遷

2011年にR2を購入してから15年。この間にフリース市場は根本的に変容した。Polartec社の素材体系は、Classic/Thermal Pro/Power Stretchの三本柱から、Alpha(通気性特化)・Power Air(マイクロファイバー脱落防止)・Power Stretch Pro(高密度ストレッチ)へと世代交代した。かつてはハイロフト=最高保温という単純な図式が成立していたが、現代はアクティブインサレーションの台頭により「動きながら暖かい」ことが求められる。R2が体現した「止まって暖かい」設計思想は、2020年代の市場では縮小傾向にある。HOUDINIのOutright Houdiは、そのトレンドの先端に位置する製品だった。

現代技術との比較

Outright Houdi自体がすでに「現代の製品」だが、残念ながら廃番となった。HOUDINIのラインナップではPower Air HoudiやOutright Pulloverに役割が移行している。170g/m² Power Stretch Pro Lightのフルジップフーディという組み合わせは、現時点で直接の後継が存在しない。他ブランドではPatagonia R1 Air Houdi(オクタ繊維)やArc'teryx Delta LT(Polartec Power Stretch Pro)が近い立ち位置にあるが、いずれもHOUDINIの「Do more with less(より少ないもので、より多くを)」という設計哲学とは異なるアプローチを取っている。

15年使用後の総合評価

R2を15年使い続けた結論として、次の15年を託すのはこの一着だ。R2が「止まったときの安心感」なら、Outrightは「動いたときの不快感のなさ」で勝負する。廃番前に入手できたことが、今後のレイヤリングシステム構築において大きな意味を持つ。寒ければシェルを足し、さらに寒ければダウンを足す。170g/m²を起点とした柔軟な温度調節が、旅のシステムとして最も合理的だと確信している。

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